CAEに携わっている方、こんな悩みはありませんか?

パラメータスタディに
時間がかかり過ぎる

ルーチンワークのCAEを
高速化したい

リアルタイムにCAEを利用するには
計算速度が足りない
その悩み、CAE代理ソリューションが解決します!
CAE代理ソリューションは、機械学習を用いて物理シミュレーションを代替するサロゲートモデル(代理モデル)を構築するサービスです。 従来のシミュレーションは、有限要素法(Finite Element Method, FEM)や有限体積法(Finite Volume Method, FVM)を使う上で メッシュ作成と数値計算に多くの手間と時間がかかるのが悩みどころ。 CAE代理ソリューションならあっと言う間に計算が終わるので、パラメータの試行錯誤も苦になりません。 あきらめていたCAEのリアルタイム利用に道がひらけます。

CAE代理ソリューションの具体的な内容は、「データ(説明変数)」から「答え(目的変数)」を予測する回帰分析です。
シミュレーションでは、データと答えをつなぐルールを人が考えてプログラムします。しかし、このルールの複雑さが計算コストのかかる原因です。
回帰分析では、学習データ(既知のデータと答え)から、よりシンプルなルールを自動構築します。
シミュレーションの仕組み人がルールをプログラム

CAE代理ソリューション学習データからルールを自動構築

回帰分析の一般的な手法には、応答曲面法と固有直交分解によるModel Order Reduction法があります。
ASTOMでは、これらに加えて、深層学習(ディープラーニング)によるCAE代理ソリューションをご提供します。
深層学習によるアプローチは、非線形応答に高い表現力をもち、複雑な現象の多変量予測に強みを発揮します。
各手法の違いは、下表をご覧ください。
応答曲面法 | Model Order Reduction法 | 深層学習(ディープラーニング) | |
多変量予測 | X | ◯ | ◯ |
非線形変換 | ◯ | X | ◯ |
モデル構築の簡単さ(注) | ◯ | △ | ◯ |
(注) 応答局面法と深層学習は学習データから回帰モデルを構築できます。Model Order Reduction法は現象に則った基底合成モデルも必要になります。
事例に学ぶ 深層学習によるCAE代理ソリューションでできること
それぞれの事例は次のフローで構成しています。

課題設定


学習データ準備


代理モデル構築


性能評価
事例1.構造解析の定常応力を予測する代理モデル
課題設定

この事例のサロゲートモデル(代理モデル)は、欠陥のあるアルミ板の引張荷重に対する定常応力計算を代替して、ミーゼス応力の分布と最大値を予測します。
CAEの計算条件は、以下のとおりです。

計算モデル | 2次元平面応力 |
板サイズ | 150 ~ 200mm x 100mm |
要素数 | 200 x 100 |
構造欠陥 | 矩形・円形の穴(複数) |
材料 | アルミニウム(ヤング率:70GPa, ポアソン比:0.3) |
境界条件 | 1/4対称拘束 |
荷重 | 1 ~ 20MPa引張荷重 |
予測項目 | ミーゼス応力分布と最大値 |
学習データ準備

代理モデルは、事前に計算したさまざまな条件に対するシミュレーション結果(学習データ)から、その振る舞いを学習します。
ここでは有限要素法を用いて、説明変数(形状画像と計算パラメータ)と目的変数(ミーゼス応力の分布と最大値)のペアを8000ケース作成しています。
※画像解像度は256×128、カラーレンジは最大ミーゼス応力を用いて規格化
計算条件
荷重:6MPa
シミュレーション結果
最大:26.7MPa



荷重:18MPa
最大:161.7MPa



荷重:18MPa
最大:55MPa



荷重:5MPa
最大:22MPa



荷重:1MPa
最大:5.3MPa




代理モデル構築

代理モデルは、説明変数(形状画像と計算パラメータ)から目的変数(ミーゼス応力の分布と最大値)を予測します。
ディープニューラルネットワークは、形状と計算パラメータの特徴抽出を行い、その結合特徴量からミーゼス応力の分布と最大値を生成します。

性能評価

上述のデータセットを用いてCAE代理モデルを学習し、未知の条件(学習データに含まれない)に対する性能を検証します。はじめに、その驚異的なスピードアップを確認しましょう。有限要素法を用いて上記の構造解析を100ケース実施するには、17分を要します。これに対して代理モデルの計算時間はわずか0.7秒であり、1400倍の高速化を達成しています。

続いて、CAE代理モデルの予測精度を確認しましょう。下図では、有限要素法を用いたシミュレーション結果とCAE代理モデルの予測結果を対比しています。 代理モデルによるミーゼス応力分布の再現性はシミュレーションと見分けがつかないほど高く、最大ミーゼス応力も数MPaの誤差精度で予測に成功しています。
計算条件
シミュレーション結果
CAE代理モデルの予測結果
荷重:18MPa
最大:107MPa
最大:108.3MPa




荷重:5MPa
最大:24.1MPa
最大:24.5MPa




荷重:17MPa
最大:109.1MPa
最大:112MPa




荷重:5MPa
最大:29.1MPa
最大:28.5MPa




荷重:11MPa
最大:36.3MPa
最大:36.7MPa





事例2.流体解析の非定常渦を予測する代理モデル
課題設定

この事例のサロゲートモデル(代理モデル)は、時間的に変動する流体問題として、配管内のカルマン渦分布を予測します。
CAEの計算条件は、以下のとおりです。

計算モデル | 2次元内部流(非圧縮) |
領域サイズ | 1m x 0.5m |
要素数 | 80 x 40 |
障害物 | 矩形・円形 |
材料 | 空気(密度: 1.2 kg/m3, 粘性係数: 1.8e5 Pa*s) |
時間 | 0 ~ 20 s |
流入速度 | 0.1 ~ 0.2 m/s |
予測項目 | 渦度 |
学習データ準備

学習データは、有限体積法を用いた流体解析を行い、4000ケースのシミュレーション結果を作成しています。
※画像解像度は256×128、カラーレンジは流入速度を用いて規格化
レイノルズ数
シミュレーション結果
4211


5397


6161



代理モデル構築

代理モデルは、流速や圧力の計算なしに、説明変数(時刻tの渦度画像とレイノルズ数)から目的変数(時刻t+Δtの渦度画像)を予測します(Δt=0.25秒)。
このモデルを再帰的に適用することにより、長時間の予測ができます。しかし、通常は誤差の累積によって精度が得られません。
弊社では複数ステップの誤差を抑制する独自アルゴリズムにより、非定常の予測を実現しました。

性能評価

未知の条件(学習データに含まれない)に対するシミュレーション結果とCAE代理モデルの予測結果を比較します。 まずは、非定常問題に対するスピードアップを見てみましょう。 有限体積法を用いて上記の流体解析を100ケース実施するには、167分を要します。これに対して代理モデルの計算時間はわずか15秒であり、660倍の高速化を達成しています。

続いて下図では、シミュレーション結果とCAE代理モデルの予測結果を対比しています。CAE代理モデルは、初期状態から0.25秒後の分布を予測し、予測結果からさらに0.25秒後の分布を予測するといった流れを繰り返します。代理モデルの結果を見ると一部位相のずれは発生するものの、シミュレーションのカルマン渦列の発生を再現することに成功しています。
レイノルズ数
シミュレーション結果
CAE代理モデルの予測結果
3524



4565



6482




事例3.実測データから降雨量を予測する代理モデル
課題設定

この事例は、スーパーコンピュータによるシミュレーションでさえ計算の難しい降雨量の推移を予測します。
つまり、シミュレーションの代替ではなく、実測データの動きを直接再現します。
CAE代理ソリューションの強みは、基礎方程式が確立されていない現象であっても、学習によってルールを形成して現象を再現できる点です。
この事例でサロゲートモデル(代理モデル)は、衛星全球降水マップGSMaP※を学習し、日本全域の1時間後の降雨量を予測しています。
※Global Satellite Mapping of Precipitation (Courtesy of JAXA)

測定データ | 1時間あたりの降雨量(mm/hr) |
測定期間 | 2014.3 ~ 現在 |
緯度 | 20 ~ 50度 |
経度 | 120 ~ 150度 |
空間解像度 | 0.1 x 0.1度(赤道上で約11km間隔) |
時間解像度 | 1時間 |
タイムゾーン | UTC(JST – 9hr) |
衛星データ | Japan Meteorological Agency (JMA) European Meteorological Satellites Organization (EUMETSAT) U. S. National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA) |
学習データ準備

学習データは、2014~2018年の1時間毎の降雨量をグレースケール画像化して作成しています(合計42,397枚)。
学習データのグレースケール降雨画像と地図上に色付きで可視化した例を下図に示します。
※ 画像解像度は256×256、降雨量は0-30(mm/hr)で規格化

代理モデル構築

代理モデルは、説明変数(過去5時間の降雨画像と月情報)から目的変数(1時間後の降雨画像)を予測します。このモデルでは、ディープリカレントニューラルネットワークを用いて複数の降雨画像と月情報(いつの気象を予測するか)をマルチモーダルに学習することで、時間変化の傾向をより正確に抽出しています。
また、低解像度の降雨画像で代理モデルの学習を行い、超解像モデルを併用して高解像度の降雨画像を生成することで学習コストを削減しています。

性能評価

2014~2018年の降雨分布から代理モデルを学習して、2019年の1時間後の降雨予測性能を検証しました。
2019年の8月と9月の実測データと代理モデルの予測結果を下図に示します。
代理モデルは、1時間後の降雨分布を0.1秒で予測することができ、温度・気圧・風向等のデータなしに台風の複雑な動きを再現することに成功しています。
2019年
実測データ
CAE代理モデルの予測結果
8月



9月



深層学習によるCAE代理ソリューションの魅力

超高速な計算

分布を生成

実測データを直接学習
CAE代理ソリューションは、高速な予測システムの実現したい すべての方に向けたサービスです。
何を提供するサービス?

CAEデータを実用的なAIとして有効活用するには、
高いハードルがあります。
・データをどのような予測に使うのか
・予測にはどのような特徴を抽出すればいいのか
・データの特徴をどのようなモデルで学習するのか
これらの疑問にイチからお答えするため、サロゲートモデル構築に必要なディープラーニングのノウハウを提供します。
なぜASTOM?

画像分類や異常検知といったAIサービスは、世の中に溢れています。しかし、CAEに特化してシミュレーション結果をそのまま生成できるAIはASTOMだけの技術です。研究レベルに留まっていたCAE向けのディープラーニング技術を初めて実用化しました。材料特性や境界条件といった数値パラメータの変化だけではなく、形状変化に応じた予測ができるのもASTOMのCAE代理ソリューションならではの特徴です。
さぁ、CAE代理ソリューションをはじめましょう
代理ソリューションの運用までを、段階に分けて取り組みいただけます。
「この課題に代理ソリューションは役立つの?」という疑問をスタートに、予算や期間など個別のご要望にお応えします。

課題分析
お客様の課題をヒアリングして、CAE代理ソリューションを適用性を診断いたします。
費用 | 無料 |

データコンサルティング
CAE代理モデルの構築に必要な学習データの量や質、形式についてコンサルテーションを行います。
弊社でデータづくりを支援できる場合は、ご依頼いただくこともできます。
期間 | 1ヶ月~ |
納品物 | レポート(データ) |
費用 | 50万円~ |

代理モデルの構築
お客様の課題とデータに合わせて代理モデルを設計・学習し、課題解決に向けた概念実証を行います。
代理モデルの概要、学習結果、テスト内容と精度についてレポーティングします。
期間 | 2ヶ月~ |
納品物 | レポート |
費用 | 150万円~ |

システム開発
代理モデルを活用するためのインターフェース設計・アプリケーション開発・システムテストを行います。
システム一式を納入の上、利用手引とシステムテスト結果についてレポーティングします。
期間 | 2ヶ月~ |
納品物 | システム一式・レポート |
費用 | 200万円~ |

サポート
システムの操作に関するトレーニング講習、機能に関するお問い合わせ、ソフトウェアの障害分析などお客様の快適なシステム利用を支援します(データ追加や変数変更によるモデルの再チューニングは別途費用をいただきます)。
期間 | 1年 |
納品物 | 年間保守 |
費用 | 50万円~ |