プロペラに着目した飛行性能の改善
我々はドローンの飛行性能を改善するため、これまでに広く検討されていたモーターやバッテリーではなく、プロペラの形状に着目しました。既製品形状に対して流体シミュレーションによる推力の評価を行ったところ、設計上の欠点が見えてきました。プロペラの再設計とシミュレーション評価を繰り返し行い、最終的には飛行時間を30%向上させることに成功しました。

既製品
従来広く使われているカーボン製のプロペラです。プロペラ表面は、流線型の曲面になっています。

改良品(特許出願中)
流体シミュレーションを活用して最適化したプロペラです。内外の表面形状を適切なバランスに整えることにより、飛行性能を向上させました。
改良までの道のり
プロペラ形状を設計するため、まず竹とんぼ製作の達人「中嶋義明」氏に協力を仰ぎました。達人の知見を基にプロペラの翼面積を広げ、厚みを薄くすることで軽量化を図りました。また流体シミュレーションを通して平坦なプロペラ形状では空気の圧力分布が均一にならないことが明らかになったため、プロペラ表面にうねりを加え、気流の安定性を改善しました。流体シミュレーションと最適化設計を繰り返した結果、これまで重視されていなかったプロペラ形状による飛行性能の向上が実現されました。


研究開発にシミュレーションを活用するメリット
プロペラ形状の最適化に成功した要因は、流体シミュレーションの成果と言えます。 一般的な開発プロセスでは、設計・試作・実験を何度も繰り返すため、製品化までに膨大な費用と時間がかかります。 一方、シミュレーションでは、試作・実験をコンピュータ上で行えるため、 今回のように踏み込んだ最適化が迅速かつ低コストに実現できます。
従来の製造プロセス
従来の製造プロセス

シミュレーションを活用した製造プロセス
シミュレーションを活用した製造プロセス
