私たちのSDGsへの取り組み

重点的に取り組むSDGs目標

「ものづくり」の未来を拓く革新的な技術で社会に貢献
当社は、創業以来培ってきたCAE(計算力学)技術を核に、産業界の発展に貢献しています。高コスト・高環境負荷な実験や試作をデジタル空間で置き換えるCAE技術は、資源とエネルギーの無駄を減らし、SDGs達成を支える重要なテクノロジーです。特に、以下の技術開発に注力し、産業の省エネルギー化、レジリエンス向上と持続可能なものづくりを支援しています。
デジタルツイン技術の推進:
・成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)や東京都中小企業振興公社の助成事業などを通じ、「計測とCAEの融合」によるデジタルツイン技術の開発を加速しています。これにより、製品開発の効率化、品質向上、そして資源の最適利用を可能にし、ものづくり産業全体の競争力強化に貢献します。
・SDGsの複数目標と強い関係を持つEV車関連技術への新技術適用を積極推進しています。具体的にはデジタルツインを用いた計測装置とCAE・AIを融合した車載バッテリーの安全評価や多部材接合製品の最適化、パワーモジュールの信頼性評価技術の開発を行っています。
・2021年9月からサイバー・フィジカル・エンジニアリング技術により、我が国の産業活力を維持・強化することを目的とする「サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合」に加入し、X線CTによりデジタル化されたEV車の衝突安全評価や車載バッテリーの信頼性評価、製造プロセス評価などに協力しています。
AI代理モデルの活用:
・CAEシミュレーションにおけるAI代理モデルの開発により、解析時間の短縮と効率的な設計プロセスの実現を目指しています。これにより、ものづくりのリードタイムを大幅に削減し、より迅速なイノベーションを促進します。大規模CAEは相当の計算リソースを消費しますが、AI代理モデルはCAE実行におけるリソース消費を大幅に軽減することが可能であり、デジタル設計プロセスのグリーンIT化に貢献します。
金属積層造形技術の確立:
・NEDOの「経済安全保障重要技術育成プログラム」に採択され、日本積層造形株式会社、日本電子株式会社、東北大学と共同で次世代金属積層造形技術の開発に取り組んでいます。これにより、軽量かつ高強度な製品設計や最適な材料選択・造形レシピの探索を可能にし、資源効率の高いものづくりを実現します。
ドローン性能計測システムの開発:
・東京都中小企業振興公社の助成事業に採択され、ドローン性能評価の中核的な技術開発を進めています。これにより、点検・監視、物流など様々な分野での利用される国産の産業用ドローンの開発効率化と安全性の向上に貢献し、新たな社会インフラの構築を支援します。

クリーンエネルギーの普及と気候変動対策に貢献する技術革新
当社は、持続可能な社会の実現に向け、クリーンで安定したエネルギー供給と気候変動対策への貢献を重要な課題と捉えています。
分散型水素システムの社会実装推進:
・太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの普及はCO2排出量削減による気候変動対策として期待されていますが、その変動性が課題となっています。再生可能エネルギーの「余剰電力」を利用して水の電気分解により製造される水素(グリーン水素)は、エネルギーのクリーンな貯蔵、輸送、活用を可能とし、安定した電力供給や、災害時対策に寄与します。
・当社は、理化学研究所と共同で、再生可能エネルギーの変動性を吸収し安定なエネルギー供給を実現する「分散型水素システム」の社会実装に取り組んでいます。
・この取り組みでは、AIによる予測制御や計測データに基づいたデジタルツイン技術によるフィードバック制御を実現するデジタルツイン・データ知識化基盤の構築を推進し、効率的かつ安定的なクリーンエネルギー利用の実現を目指しています。
原子力安全解析分野への貢献:
・原子力は、ベースロード電源としてエネルギーの安定供給に貢献するとともに、気候変動対策としてのCO2排出量削減にも寄与します。一方で、運用拡大における安全性や持続可能性の確保にはさらなる技術革新が不可欠となっています。
・原子力は実スケールでの検証が難しい領域であり、安全かつ信頼性の高い設計・運用のためには、数値シミュレーションが極めて重要です。当社は、卓越した数値シミュレーション技術を通じて、原子力の信頼性と持続性を高め、クリーンなエネルギー社会の実現に取り組んでいます。

多様な働き方と生産性向上で持続可能な企業成長を実現
従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮し、安心して働ける環境を整備することが、企業の持続的な成長には不可欠であると考えています。
柔軟で男女平等な働き方の導入:
・2024年4月よりフルフレックスタイム制を導入し、従業員がより柔軟な働き方を選択できるようになりました。これにより、ワークライフバランスの向上を支援し、生産性の向上につなげています。
・育児休業制度・介護休業制度と合わせ、テレワーク勤務を取り入おり、性別年齢を問わずそれぞれの事情に合わせた柔軟な業務遂行をサポートしています。
・オフィス勤務とテレワーク勤務を併用しており、対面による即時コミュニケーションや一体感を重視しつつ各社員のライフステージに合わせた柔軟な働き方を選択可能としています。
・各種ハラスメント対策としてハラスメント研修、内部通報制度を導入し、その防止に取り組んでいます。
計算機環境の整備:
・年々増大するCAEによる解析処理やAIの構築処理などへの対応として、随時効率の高い計算機環境への更新やクラウド環境の活用推進などを推進しています。これにより環境負荷を軽減しつつ、業務効率の向上と生産性の最大化を図っています。
エンゲージメント向上のための施策:
・社内ワーキンググループを立ち上げ、従業員のエンゲージメント向上に資する様々な施策を従業員自らボトムアップ的に提案・実施可能な仕組みを用意し、従業員満足度の継続的な向上に取り組んでいます。

産学官連携と企業提携でイノベーションを加速
当社は、他機関との強固なパートナーシップを通じて、より大きな社会貢献を目指しています。
理化学研究所との連携:
・理研ベンチャーとして設立された歴史を持ち、現在も理化学研究所や理研の研究成果の社会実装を推進する株式会社理研イノベーション、および特定非営利活動法人VCADシステム研究会との連携を通じて、最先端技術の社会実装に貢献しています。
・2019年と2021年にりそなグループの「SDGs推進私募債」をそれぞれ5千万円発行し、理化学研究所へ合計10万円の寄付を行いました。
■SDGs推進私募債の概要
SDGs推進私募債とは 私募債発行額の0.1%相当額を、取扱金融機関がSDGsの達成に資する団体に対し寄付を行うことを条件とした社債です。
発行日 | 2019年03月08日 | 2021年09月30日 |
社債の総額 | 5千万円 | 5千万円 |
最終償還期日 | 2024年03月08日 | 2026年09月30日 |
資金使途 | SDGsへの取組 | 同左 |
寄付先の団体 | 国立研究開発法人理化学研究所 | 同左 |
金融機関 | 株式会社埼玉りそな銀行 | 同左 |
株式会社東京衡機との資本業務提携:
・株式会社東京衡機との資本業務提携により、試験機とCAE・AIを融合したソリューション開発や試験機データベース事業の創出など、新たなシナジーを生み出し、ものづくり産業における課題解決に貢献しています。
多分野における共同研究・共同開発:
・株式会社SUBARUとのスクラップ落下シミュレーションソフトウェアの共同開発や、A社との塗装プロセス全般に渡るシミュレーションソフトウェアの共同開発など、多様な企業との連携により、顧客ニーズに合致した革新的な技術開発を進めています。

奨学金事業への支援
当社は、独立行政法人日本学生支援機構が発行する、第80回日本学生支援債券(JASSOソーシャルボンド)への投資を表明しました。
日本学生支援債券の概要:
・「ソーシャルボンド」とは、ICMAが定めたソーシャルボンド原則に定義された、社会的課題の解決に資するプロジェクト(ソーシャルプロジェクト)の資金調達のために発行される債券のことであり、ESG投資の対象となる債券です。
・日本学生支援債券は、第52回債から第71回債まで、ICMAが定義するソーシャルボンド原則に適合する旨、ムーディーズ ・ジャパン(Moody's Japan)(旧:ムーディーズ ESG ソリューションズ(Moody's ESG Solutions)、ヴィジオアイリス(Vigeo Eiris))から、発行の都度、セカンドオピニオンを取得しています。
・第72回債以降の日本学生支援債券及び令和5年4月以降の民間資金借入金は、「ソーシャルボンド原則2021」、「ソーシャルローン原則2023」及び「ソーシャルボンドガイドライン」(金融庁策定)に適合しているものとして、株式会社日本格付研究所よりセカンドオピニオンを取得したソーシャルファイナンス・フレームワークに基づくものです。
日本学生支援債券を通した教育支援
・本債券の発行による調達資金は、同機構が担う奨学金事業内、貸与奨学金の財源として活用されます。奨学金事業は、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に資するもので、我が国の教育面で課題解決に貢献します。
■本債券の概要
名称 | 第80回日本学生支援債券(JASSOソーシャルボンド) |
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年限 | 2年 |
発行額 | 300億円 |
資金使途 | 第二種奨学金の在学中資金に充当 SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に貢献 |
債権の金額 | 1,000万円 |
発行日 | 令和7年9月9日 |
当社は、本債券への投資を通して、今後も奨学金事業を支援してまいります。
今後の展望
私たちは、SDGsへの取り組みを単なるCSR活動と捉えるだけでなく、事業成長の機会ととらえ、中期経営計画に基づき、以下の点に注力してまいります。
・高付加価値事業への転換: 労働集約型から商品・ライセンス販売を中心とした資本集約型事業への転換、およびソリューション提供・コンサルティング事業の創出により、収益力の向上を目指します。
・新事業領域の開拓: マルチフィジックス解析技術、デジタルツイン技術、AI代理モデル技術などの高度化を図り、半導体・電子部品を中心とするEV関連領域、ドローン領域、金属積層造形など新製造技術領域といった将来性の高い新技術分野・事業領域への投資を継続し、新たな市場を創造します。
・人材育成と組織力強化: 従業員の能力向上、自律的な行動の促進、そして円滑なコミュニケーションによるイノベーション人材の育成に注力し、組織全体の生産性を向上させます。また、ガバナンスの強化により組織力の向上を図ります。
・社会貢献活動の継続: 公共領域、特に原子力分野への貢献の拡大を図り、社会の安全・安心に貢献します。
当社は、これらの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。
2025年10月1日 代表取締役会長 常木 優克 代表取締役社長 池田 貴